(前回の続き)
コード‘5555’を入れることで表示されたGPSの方位に
従って走ると目の前に巨大な壁のような砂丘が見えてきた。
おいおい、まさかあれを登れというんじゃないよな。と思い
GPSを見ると矢印は「あっち行け!あっち行け!」と言わん
ばかりにその山を指していた。
あんな垂直に切り立ったのはさすがに無理だよ!
そうだよな、GPSは途中に山があるが谷があろうが関係なく指すからな。
どう考えてもその壁を登るのは無理なので、どこか迂回ルートは
ないかとその壁に沿って左に走ってみた。
するといきなり壁がなくなり広いピストに出た。
GPSを見ると矢印がビン!とそのピストと同じ方向を指した。
「あ!出た!」
やった、見事オンコースに復帰したようだ。
確かにその後はそのピストに同調するようにGPSの矢印が一致し
途中では主催者が立てたバリース(杭の目印)もあり、今度は間違いない
と思いやれやれと思いつつスピードアップした。
そして快調に走り続けたのだが、ひとつ疑問が出てきた。
さっきから誰にも会わないのだ。
誰かに追いつくわけでもなく、かといって誰も追いついてこない。
少なくとも四輪の早いマシンが追いついてきてもよさそうなのに
一台も来ない。
それとも迷っている間に全車が先に行ってしまったのだろうか?
いや、いくらなんでも最後尾のカミオンまで抜かれたとは思えない。
おかしいなぁ。でもGPSは間違いなくこのルートを示しているの
で間違っているはずがないのだが・・・・。
それとずっと気になっていたのが、’5555’を入れてからナビ画面は
表示されるのだが、そこに表示される通過ウェイクポイント名がSOS1、
SOS2になり目標到達距離が二千キロ以上も先を表示してる。
なんでSOSとつくんだ?だいたいこのとんでもない距離数は?
疑心難儀のまま走り続けると地平線の手間に一般トラックが横切っていくの
が見えた。
ということはあそこには舗装路が通っていることになる。
確かに今日のルートは途中で舗装路を跨ぐ設定になっていたので
「な〜んだ、よく分からんが、ちゃんと舗装路に出たじゃん。よし
あそこでロールマップとICOの距離を再設定しよう。」
それまでかなり不安度が増してきていたが、舗装路を見つけたことで
やっとほっとすることができた。
と、その時だった!
急に背後からヘリが飛んで来てぼくの前でホバーリングした。
なんだ?と思って停止し見上げると横のドアが開き、スタッフが
いま来た方向と逆を手で何度も指している。
いったい何が言いたいんだ?
さっぱり意味が分からずにいると、そのスタッフは今度は先の
舗装路を指差し、そこへ行け!と手で合図した。
フン!言われなくても行くさ!と舗装路まででると、またヘリが目の前
でホバーリングし今度はそこを動くな!みたいな合図を送ってきた。
何でだよ!と思ったが指示通り舗装路で停止した。
ふと周りを見渡すと明らかにチェックポイントがあってよさそうなのに
誰もいない。
あれ?変だな。と思っていると、ヘリが降下してきてなんとその舗装路を
ふさいでドーンと着陸した。
「お〜、アクション映画のシーンみたいだけど、道ふさいじゃっていいの?」
とあっけにとられているとスタッフが降りてきた。
顔を見ると二日目に熱中症になったときに運んでもらった時と同じスタッフ
だった。
むこうもぼくの顔を見るなり「お〜、おまえか!」というリアクションをしている。
そしてなにかを叫んでいるのだが、ヘリのエンジン音でよく聞き取れない。
しょうがないのでぼくの耳元まで顔を持ってきてやっと聞き取れたのだが
その言葉に我が耳を疑った。
「おまえが走っているのは昨日のコースの逆走だ!今日のコースじゃない!」

スタッフは地図を出してきて、まず昨日のコースを見せ、コースを逆になぞり、今ここにいるとコースと舗装路が交差した地点を指さし、次にそこからどんどん指を北上させ約200キロはなれたポイントと指先し、今日のコースはこっちだ!と言っている!
嘘だろ?だってGPS通りに来ただけなのに!
そのことをスタッフに言うと、それは俺にもわからないが、とにかくこのまま
行ったら昨日のスタート地に戻ってしうから、ここからショートカットして今日のコースに復帰しろと言う。
訳がわからんが、とにかくコースを間違っているのは確かのようだ、とにかく早く本コースに復帰するしかない。
GPSはあらためて今日の入力コードを入れようとしても受付てくれず相変わらず昨日のコースを表示しているし、このままショートカットしないとガスも持たない。
とにかくマシンに跨ると飛ばしに飛ばし本コースの給油ポイント&チェックポイントを目指した。
どうにかチェックポイントにたどり着くとまずガス給油をした。
するとチームメイトのB場さんがやってきた。
話を聞くと、ここはとうの前に通過したのだが、ミスコースをしてしまい
また戻ってきてしまったそうだ。そう告げると慌しく走りだして行った。
ガスを入れ終わると、ロールマップとICOを調整し、ぼくも急いで
リスタートラインに移動しスタッフにチェックカードを渡した。
「あ、おまえCP不通過だから、ペナルティータイム加算な。」
と言われた。
今さらそんなペナルティ時間なんかどうでもよかったので
わかったといいチェックカードを受け取ると、スタッフが指でスタートのカウントダウンをはじめた。
ちょ、ちょっと待って!GPSがおかしくて今日のコードを入力しても受けつけてくれないからみてくれ!とあわてて言うと、そのスタッフはGPSのことはよく分からないからと別のスタッフを呼んできた。
来たスタッフは最初はぼくが今日のコードを忘れたのだと思ったらしく衛星電話で本部にコードを照会しはじまたので、コードは知っていると言うと、じゃあ入れ方が分からないのか?というので、そうじゃないコードが入らなくなったんだというと、どれどれとGPSをのぞきだした。
ところが表示されているコードを見たとたん顔色が急変した。
「あ!おまえ’5555’を入れたのか?」
そうだと答えると
「おまえが入れたのか!本当におまえ自身が入れたのか!」
と何度も執こく聞くので、そうだよ!自分で入れたんだよ!と答えると
その後にスタッフの口から出てきた言葉は衝撃的な内容だった・・・・・
(続く)