ファラオは毎日が刺激的で色んな出来事があり、何から話してよいか迷うのだが、そんななかから特に印象的に出来事をピックアップしてみようと思う。

<その1>
■月の砂漠で宴
ラリー5日目は途中からマップケースのホルダーステーが完全に折れてしまい応急処置をしながらの走行となった。
そしてSSフィニッシュまで残り約30キロというところでまた修理を行っているとオフィシャルカーが来て、もうマキシマムタイムオーバーだし日暮れも近くこの先の走行は危険だからここでカミオンバレーを待つように指示された。

しかたなくその指示に従いカミオンバレーを待っていると程なくやってきて早速ぼくのマシンを積み込んだ。
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積み込みが終わり、さあこれで今日のビバーク地であるシーワに直行すると思ったらその前にコース途中で横転したレーシングカミオンを救出に行くという。
「お前、見なかったか?」と聞かれたので、見たと答えると「じゃ、そこまで案内してくれ」と言われ一緒に救出に向うことに。
やがて現場手前の砂丘を越えると救出を待っているカミオンメンバーが手を振って早く来てくれと言わんばかり合図をしていた。
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ここでカミオンバレーのイタリア人コンビ、ドライバーのジーノとアシスタントのパウロはなんと大笑い!
早くしろ!とせかすメンバーを待たせ自分達のカメラを持ち出しぼくに渡すと横転したカミオンをバックに写真を撮ってくれと車を降りてポーズをとりだした。
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撮影大会が終わるとやっとカミオンを起こす作業を始めたのだが、さてどうやって起こすかもめていた。
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結局、カミオンバレーが砂丘の反対斜面から引っ張りお越し、そのあとは真後ろに回り斜面から引きずり下ろすことにした。
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なんとか引き起こしには成功したのだが左前輪のタイヤが完全にホイールから外れていたのでまずはその交換をしてから後に引くことにした。
ということでエアーバックジャッキで車体を持ち上げようとしたいたときにハプニングが、なんとメンバーが車体の下にもぐっているのにエアーバックにエアーを送るバルブが外れ危うく下敷きになりかけた。
間一髪脱出したメンバーは「俺を殺す気か!」と多分イタリア語で言っていたのだろう、えらいけんまくで怒っていた。
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やっと砂丘下まで引きずり降ろしたが、どうもエンジンが掛からず自走ができないようだ、かと言って力持ちのカミオンバレーでもさすがにカミオンを牽引して砂丘越えは無理で、かといってこのまま置いていくこともできず、ではエンジン修理が終わるまでここでビバークすることになった。

とはいえ引き起こし作業が終わってしますとカミオンバレースタッフに仕事はなく、ただひたすらレーシングカミオンのメンバーがエンジン修理終わるのを待つだけで暇になってしましった。
やがて後発のカミオンバレーがもう一台合流しそのイタリア人スタッフ3人とこちらのジーノとパウロの合わせて5人と砂の上に座って休憩となった。
すると後発カミオンバレーのスタッフがなぜかキンキンに冷えたビールを持ってきてそれぞれが持っていたランチパックのありったけの残りものを出し合い、それをつまみに宴会状態になってきた。
ちょうどこの夜は満月で涼しくなった砂丘の上に横になり修理中のレーシングカミオン越しに見る月は眩しいくらいに輝いていた。
砂丘の上は本当に心地良く、「ああ、このままここでビバークも悪くないなぁ」と思った。
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ビールを飲んでご機嫌になったパウロが、やおらオーソレミオを歌いだした、すると他のスタッフも歌いだしぼくも一緒に。
パウロはトリノ出身だそうでこの歌はトリノの曲だと言っていたが本当かよ?
大合唱が終わると今度はぼくに何か日本の歌を歌ってくれと言われた。
困ったあげく、ぼくはスキヤキソング(上を向いてあるこう)を歌った。
「いい曲だな!どんな意味の歌詞なんだ?」と聞かれたので、人生まっすぐに上を向いて歩こう!みたいな曲だというと「おお!オーソレミオも太陽を歌ったものだから似ているな!」だって。(へ〜そうなんだ)

それから暫く月夜の灯りの下で大合唱が続きそれも歌い疲れると今度は日本語を教えてくれときた、だけどどの言葉を教えても語彙が長くて発音も難しいと憶えられない、特に挨拶の「コンニチハ」は長くて難しいと言い、イタリア語なら「チャオ」で簡単なんだけどなと言われた。

ならば「コンニチハ」はイタリア語の「ボンジョルノ」だから「チャオ」のようにもっとカジュアルな挨拶なら「オッス!」でいいよと教えると、「お!これは簡単でいいな!」とそれから「オッスYUZO!」とやたらオッスを連呼することになった。

後日談だが、その後このカミオンバレー軍団スタッフと会うたびに「オッスYUZO!」と挨拶されることになった(笑)

昼間は灼熱の砂丘も夕暮れから夜は涼しくそして昼間では見ることことができないその瞬間瞬間の美しさをこれでもかと見せ付けていた。
タイムオーバーは残念だったがおかげでファラオ期間中で最も心地良い
時間を経験できることができた。
砂丘の上に寝て満月を見ながらビールを飲む。最高だった!

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