話はエジプトのカイロ空港に到着した時まで遡る。
飛行機を乗り継ぎ(羽田→関西空港→ドバイ→カイロ)
やっとカイロ空港に降り立つと、それまでの空港とは一変し
なんともはや汚く古びた空港であった。
これでよく観光をうりにしている国だなと思う。
国力の違いと言ってしまえばそれまでだが
ドバイと比べると同じイスラム圏でも石油が出る出ないでこうも
違うものか。
まるでダフ屋のような怪しい店でビザのシールを買い
ぐちゃぐちゃに並んだ入国審査を通るとまもなく
チームメイトのB場さんも出てきた。
ところがF宅さんだけがなかなか出てこない。
(ちなみにもうひとりのチームメイトのM本さんは翌日の便で
カイロ入り)
B場さんと「F宅さん、何やってんだろうね?」と話し、あまりに
遅いのでガラス越しに覗いてみると、荷物検査で引っ掛かって
いた。
よくみると検査官が工具やエンジンパーツを指差しながら何か
言っていて、それをF宅さんが困惑しながら説明していた。
後で聞くと、持ち込んだ工具やパーツのあまりの多さにこれらを
何に使うんだ!と不信がられ調べられていたそうだ。
そもそも、羽田で関空に移動するときも、F宅さんの荷物が
重たすぎて完全に重量オーバーになるとカウンターで言われ、
逆に軽かったぼくのバックに移したことにして何とか
積み込んでもらったくらいだったもんな。
さて、どうにか通関をパスしてF宅さんが出てきたので
タクシーでホテルに移動することにした。
もともとF宅さんを待っているときからタクシーの客引きが
うるさいぐらいに声を掛けられていたので、ちょうどその時に
声を掛けてきた年配の運転手に料金を聞いてみた。
「15ドルだ。」
事前に聞いていた相場が15ドル前後だったので
まあ、相場だなということでそのオヤジに頼むことにした。
オヤジにすぐに車に行こうと言われたが、ちょうどタバコ
をすっていたところだったので吸い終わるまで待てと言ったが
やたらと急かし、まだ乗らないのなら、まずはカウンタで
俺の車を予約したことを一筆書いてくれと言う。
タバコ1本吸うだけだから待ってろよと言っていると
そこへ若い二人組みがやってきて、うちのタクシーの乗れと
言い出した。
オヤジは「この客は俺のだ!」と二人を追い払おうとするが
二人はお構いなしに食い下がる。
そして、あんたら料金はいくらと言われた?というので
15ドルだと答えると「高い!高い!俺達なら13ドルでいいぞ」
といい、ぼく達の荷物を強引に自分達の車の方へ運び出した。
ぼくも「まあ、安いならこっちでもいいかと」二人に着いていくと
オヤジが必死にそれを阻止しようとし、しまいにはオヤジと
二人組が口論を始めた。
既にF宅さんとB場さんは二人組みに促され車に乗ってしまって
いたのでオヤジと二人組みの両方から「うちに乗れ!」と強烈な
アピールをされた。
しょうがないので、ぼくは「どっちがいいと言われても俺にはよう
分からん。ただひとつ分かるのは13ドルの方が安いということ
だからそっちにする。」と答え二人組みの車に乗り込んだ。
おやじはそれでも諦め切れないようでしきりに「俺は政府のパス
をもった公認タクシーだから安心だが、こいつらは持ってやしない!」
と言っている。
すると二人組みは「何言ってやがる、うちらだってパスぐらい持って
る!」とやり返し、いいから車を出せと二人組みの仲間のドライバー
をけしかけた。
車が発進しようとしてもオヤジは恨めしそうな顔をして呪文のように
何度も「Be careful(気をつけろ)」を連呼していた。
そんなオヤジを無視して車が走りだすと、ドライバーの男が
助手席に座ったぼくに「お客さん、すまなかったね。邪魔者が入って。
でも何も心配する必要ないし、ちゃんとホテルまで届けるから安心しな。」
と陽気に話しかけてきた。
ところで乗り込むときにシートベルトをしていなかったがいいのかな?
と思いドライバーを見るとしていない。
どうやらこっちはしていなくても違反にはならないようなので
やめようかなとも思ったが、何か嫌な予感がしたのでぼくはあえて
シートベルトを締めた。
それを見たドライバーは「なに締めてんの?大丈夫だよ、俺の運転なら
心配ないぜ。」と笑って言われたが、無視して締めた。
このシートベルトを締めたことが、あとで大正解だったことになるとは
その時は夢にも思っていなかったが・・・・(続く)